住宅型有料老人ホーム「モナトリエ」スタッフBlog

住宅型有料老人ホーム「モナトリエ」スタッフBlog

【スタッフつぶやき】関係性

介護施設と言っても実に多彩で、各施設それぞれ特徴や分野がある
ディサービスに訪問介護は自宅に暮らしながら受ける介護サービスで、施設といっても住宅型有料老人ホームや特養(特別養護老人ホーム)など、お世話になるまではその存在は知ってはいても知らない世界、弁護士にも民事専門、離婚専門、刑事専門があるようなものなのかもしれない
モナトリエは住宅型なので、ご利用者様のお部屋それぞれはマンションの部屋と同じ
なので、私たちヘルパーはご自宅に伺いお掃除をしたり、お風呂のお手伝いをしていることと同じ
どこで暮らされていても、当然ご自分のこだわりはあるもの
入社して直ぐ、上司に言われた忘れられない言葉の一つ
「こだわりを持って生活をされている方も多くおられます」

M様はこだわりに満たされて生活されているお一人
ご自分の意思をしっかり伝えてこられるので、私に間違いなくできるのか不安で、M様のルールが覚えきれず、またM様の性格もわからず、最初は正直、怖気づいた
ある日、M様の買い物に行き、頼まれていたミルクコーヒーの本数を間違えていたことを買い物をした夜に突然気がついた
翌日、M様のお部屋に伺うことがあり「昨日、間違ってました、すみません」と謝罪した
M様は「あら、気づいたのね、素直に言ってくれて、ありがとう、またお願いします」
これをきっかけに、M様と一つの壁を越えられた気がした

洗濯物の返却にM様のお部屋に伺い、いつものように指定されたタンスの引き出しに、洗濯物を片付けていた
「また来てね」
とM様に言っていただき
「また来ます」
と答えた
特に考えもせずに言った言葉「また来ます」
意図した訳ではなくタイミングが合わず、M様のお部屋に伺わないままに1週間
M様の洗濯物を返却に伺うと
「あら、あなた、久しぶりね」
玄関すぐ、洗面台の前にM様がおられる
いつものように指定されたタンスの引き出しに洗濯物を片付けていると、M様が鏡越しに言われる

「また来ると言って、全然来ないから、私、あなたに舐められているのかと思ってたわ」

M様はとても上品な方である
そんなM様がクスリともせず、どちらかと言えば無表情で「あなたに舐められている」なんて昭和の不良のような言葉を言われる
しかも鏡越しに
半年前の私ならM様のどう答えていいのか分からず、洗濯物を直す手が震えたかもしれない
もしかして、M様の部屋を退室した後、廊下で泣いたかもしれない
今の私は
「M様から「舐めてんのか?!」喧嘩を吹っ掛けられる」
面白すぎて、笑いが止まらず、涙が出てくる
そんな私を見てM様が繰り返される
「舐めたらいかんぜよ」
鬼龍院花子ですか?夏目雅子?とさらに笑いを取ってこられる
笑って服を片付ける手が止まってしまう、次の仕事があるのに!とM様にクレームしても笑いが止まらない
二人して本当に笑いが止まらない

「ほら、だからときどきは顔を出して」
M様のこだわりを私の仕事で満たすことができるか、まだ不安なときもありますが、これだけ笑わせてもらえるなら、伺わなくては
前回とは同じ言葉でも気持ちを込めて言わせていただいた
「また来ます」



【スタッフつぶやき】バロメーター

疲れやストレスが溜まると人はイライラしたり、過食したり、浪費したり、身体が様々なサインを出してくる
そのサインが疲れ・ストレスのバロメーターになる
体調の基準は人それぞれ、でも他から見てもわかるサインも多々ある

私たち職員は普段ご利用者様たちと廊下やエレベーターでお会いした少しの時間や、当然お部屋のお掃除、お風呂のお手伝いなど時間の長さに関わらず、ご利用者様に何か変化、変わったことがないか見つけられるよう、感じられるよう心掛けている

Mの姉さん
最近少し体調を崩されがち
お部屋で食事されていた時期もあったけれど、最近は歩行器を使いご自分で歩いて食事に来られるほど元気になられている
M様のお部屋掃除の当番にならず、私も食事時間は自分の仕事で精一杯で、M様が食事からお部屋に帰れる際などご挨拶するくらいしか関わりがなかった
乾いた洗濯物置き場に、M様の洗濯物が置いてあった
次の私の仕事はM様と同じ階
ここぞとばかり、M様の洗濯物を返却に伺う

「失礼します」お声かけして入室すると、窓際の机に座られ新聞を読んでおられる
いつものM様の定位置
いつもに戻っていることが嬉しい
「お洗濯をお持ちしました」
「ありがとう」
M様の穏やかな表情と声で応えていただく
「少し前は調子を崩されてましたが、お元気になられてよかったです」
素直な気持ちを言葉にすると
「元気じゃないわよ」
”もう、困るわ!”とさっきの穏やかさは秋の空のように急変する

普段はとても丁寧で穏やかなのに、感情がこもると言葉がざっくばらんになり、本来のM子さんに触れらた気がして、とても好きな瞬間
「元気じゃないわよ」
その表情、語気、スイッチオンのM子さん

ああ、お元気になられてよかった

本当に元気じゃない人は「元気じゃない」と言わないものですよ、なんてM様には無粋な返事
M様は完全にではなくても、お元気になられた
最近読まれて面白かった本は何ですか?
今、ミステリーにハマっていますが、おすすめはありますか?
話したいことは多々あれど、今はM様が復活されつつあることが分かれば十分
「お互い、元気でいましょうね」
お部屋をおいとまする

そう、お互いが元気なことが大切
私も元気でいようと思う



【スタッフつぶやき】自称

2025年は
十二支では巳(ヘビ)
十干では乙(きのと)
干支だと乙巳(きのとみ)

十二支は子(ね)丑(うし)虎(とら)卯(う)から続く、よく知られる干支
十干は甲(きのえ)乙(きのと)丙(ひのえ)丁(ひのと)戊(つちのえ)己(つちのと)庚(かのえ)辛(かのと)壬(みずのえ)癸(みずのと)
干支は十二支と十干を組み合わせて60通りの六十干支となり、60年でこの組み合わせを経てひと回りすることから、還暦

午(うま)年生まれの女性ならば人生のうち何度も聞かれる「丙午(ひのえうま)」
ちなみに丙午(ひのえうま)は来年が還暦の方々

頭の回転がとにかく早いN様
しかも、出てくる言葉が洒落が効いたものが多く、秘伝のスパイスのような複雑で独特の個性の香りを発している
「人とはちょっと違う言葉を探す」という意味でN様と通じるものを以前から感じていた

N様のお部屋の掃除に伺った
この日はご結婚までのお話を聞かせてもらう
「我が家(実家)は祖父も父も午(うま)年で、丙(ひのえ)だけどきっと男の子が生まれるって私が生まれたの」
掃除をする私の手が止まる
「祖父も父も医者なのに、おかしな人たち」
”男なんて困ったもんだわね”要素も含みつつN様が笑われている

本来であれば、丙午は60年に1度なので2026年、1966年、その前は1906年(明治36年)になる
ご結婚までに紆余曲折があり、ご主人は早世されている
N様の気性が丙午(ひのえうま)
N様が周囲のどれだけ多くの人たちからそう言われてきたことが想像できる

N様に
「私も午(うま)年です、私たちどこか似ていると思っていました、私たちは”じゃじゃ馬”ですね」
「馬は気品もあっていいじゃない、やるときは全力疾走するのよ」
N様の言葉選びが秀逸だ

60年に1回しか巡ってこず、その上出生率も低くなりがち、そして女の子が生まれる確率は2分の1
日本において一番人数が少なく、それも女性であることが求められる丙午
発想の転換、考え方を変えれば、その存在は貴重なのかもしれない
自称「丙午(ひのえうま)」
ええやん

2026年は丙午(ひのえうま)
来年の話をする前に、巳(み)年をつつがなく過ごさねば



【スタッフつぶやき】貰ってもいいもの

日中はともかく、朝晩の冷え込みが少し冬を感じる頃になった
ニュースではインフルエンザも徐々に増加していると報じている

職員は当然として、ご利用者様たちにもコロナ以降、食事など多くの人が集まる場ではマスクの着用をお願いしている

朝食後、N様をお部屋へお送りする
エレベーターを待つ間「マスクをお願いしますね」とお声掛けする
「風邪は万病のもと、貰ったら損です、ご自分を守るためにもマスクをお願いします」
加えて話すとN様が
「本当、風邪や病気は貰ったら損だわね」
エレベーターが到着し乗り込む
”貰ったら損”の話題が続く
「じゃあ、貰ってもいいものって何でしょうね?」
N様と考え、私が出したものは
「遺産はどうです?貰ってもいいんじゃないです?」
N様が諭される
「あなた、遺産もプラスならいいけど、借金も遺産、貰ったら貰ったで困るときもあるわよ」
至極納得する
じゃあ、何なら貰っていいんだと、また二人考えN様が言われる
「貰ってもいいもの”年金”ね」
おおお!年金、貰ってもいいもの、私の年代なら諦めつつも欲しいもの、貰いたいもの
「大正解ですね!」
N様と笑ってお部屋に着く

その日の午後、H様のお風呂のお手伝いをした
H様に季節の変わり目体調を崩さないようお話をして、「貰ってもいいもの」の話をした
H様もお風呂に浸かりながら考えられている
「今まで考えたこともなかったけど、考えても全然出てこないわ」
H様の豪快な笑いとともに
「そんなことを思いつくって、あなた面白いわね」
褒めていただく
お風呂上がり暑がりのH様のために脱衣所内を扇風機を回しておいた
それに気づかれたH様が
「お気遣い、ありがとう」
と仰った
H様に褒めてもらい、感謝の言葉をもらい、気がついた
「”褒め言葉”と”ありがとう”は貰ってもいいもの、貰いたいものですね、ええもんもろて、ありがとうございます」
最高の”貰ってもいいもの”を見つけられ手を叩いて二人で喜ぶ

これからしばらく、「貰って損な」風邪やインフルエンザ、コロナに特に注意な日々が続く
「貰ってもいいもの」を探し、見つけて、褒め言葉や感謝の言葉など差し上げられるもの、貰って困らないものは惜しみなく差し出そう
寒い季節こそ、温かい気持ちを交換しようと思う



【スタッフつぶやき】思考回路

ここ数日ですっかり涼しいから寒いくらいになった、今日この頃

N様が朝食のとき羽織られているニットがとても素敵で、「素敵!」とお声掛けしようと思いつつも朝の慌ただしさからチャンスなく、気づいたらお昼ごはんの時間

N様と同じ階のご利用者様に昼食のお声掛けに伺い、エレベーターを待っているとN様もエレベーターホールに来られる

「朝のニットが素敵」
それで頭がいっぱい
そんな頭からの指令で口から出た言葉が
「おはようございます」

「朝のニットが素敵」 -「 朝のニット」 - 「朝」 = 「おはようございます」

脳の信号、混戦状態
言葉した自分に自分でびっくり

「お仕事、忙しそうね」
N様が大笑いされている

改めて
「こんにちは、今朝のニットとても素敵でした、手編みですか?」
「そうよ」
「すごく素敵、それを朝からお伝えしたかったんです、それがなぜか「おはようございます」になりました」
3人で大笑いする

秋が来た
楽しいことを見つけ、笑って、元気に次の季節を迎えよう



More...

住宅型有料老人ホーム「モナトリエ」スタッフBlog

タグクラウド
検索
購読
ナビゲーション

ページの先頭へ戻る▲