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つぶやき

【スタッフつぶやき】才能

才能があるか・ないかは自分が認めるよりも周囲の人が認めてくれるかどうか
そうは思っても、人に褒められても、どうも自分の才能というのは信じられないから厄介である
いわゆる、私には「文才」なるものがあるらしい
解せない
解せないのは、人は皆んな何かしらの文章を書くことが誰だってできる訳で、人それぞれの表現がありそれを選び文字にすれば、皆んな個性のある文章になるはずと思っている

何だかんだ長々と出だしからウジウジ書いたのは、ブログ(日記)を書いていることを告白したM様に印刷した物を渡したから

絶対に怒らないでくださいね!と念には念を押して、印刷物をお渡しして逃げるようにM様の部屋を後にした
その翌日
M様と同じ階のご利用者様の起床介助に伺った
そして、その方とエレベーターを待っているとM様が「おはよう」といらっしゃった
笑顔である
おはようございます、と少々ビビりながらご挨拶する
早々にエレベーターが来て、3人で乗り込む

私「読まれましたか?」
恐る恐る伺ってみる
M様「読んだわよ」
まだ笑顔
M様「あなた、文才があるわよ」
私「あああ、ありがとうございます」
自覚するほど動揺している私

M様「文章を書くのはお好きですか?」

M様が丁寧語で聞かれる
これは、本当に誉められている

正直、関西人なので誉められても普段なら冗談半分で
「私、才能のカタマリなので」
と受け流すことは多々あれど、真正面から本気で褒められるとリングコーナーに追い込まれたボクサーの如く、その褒め言葉に打ちのめされないよう必死にあがくしかない

この日はM様の言葉に返す言葉も見つからず、しどろもどろでエレベーターが着き終わった

日を改めて、今日
M様のお部屋掃除に伺った
ご挨拶も早々に再度M様に聞く
私「本当に(勝手に記事にして)怒っておられませんか?」
M様「怒ってない」
怒ってないか何度も聞くことに怒られそう
M様「怒られるようなことを書いてるの?」
私「そんなことはないつもりでも、文章というのはあくまでも私の主観で、出来事のごく一部を抜粋して書くので、読む人によっては自分の意図しない感想を抱かれる可能性もあるから怖いんです」
M様も納得される
私「それに、文章にするか・しないかの違いだけで、皆んな文才はあるはずと思ってます」
M様「誰でもできるようで、できないものよ」

あらためてM様に答える
「文章を書くことは好きですが、書くことは怖いことだとも知っています」

そこでM様に問い返す
「そんな私がM様のことを今後も書いてもいいですか?」

M様のスッキリとした笑顔と声で
「いいわよ!」

ありがとうざいます!!
さっそく文章に記してみました
私に才能なるものがあり、それで誰か喜んでいただけるならば、これ以上の幸せはない
才能伸び放題



【スタッフつぶやき】カメラ

孤高の学者M様のお部屋の掃除に伺った
いつのように机の前に座られて、片手には拡大ルーペを持ち熱心に何か読まれている
掃除機を掛け、フロアシートで掃除しながらM様に何をそんなに真剣に読んでおられるんですか?声を掛けると
「これの使い方を読んでるんです」
マッチ箱ほどの小さなカメラを見せられる
おもちゃですか?
と伺うと
「おもちゃみたいなものですが、ちゃんと写せるし、動画も撮れるはずなんですが動かなくて」
熱心に読まれていたのはカメラの説明書
こういうのは苦手ではないので、掃除は一旦おいて説明書を見せてもらう
マイクロSDカードはありますか?コードはありますか?
いろいろ伺いながら、パソコンも使い操作してみる

何度か試していると、動作している
しかしながら玩具と言ってもカメラ、そのカメラのファインダーが全くぼやけて見えない
ぼやけ過ぎて撮っている対象が全く見えない
何となくフレームに入っているような、いないような
これならファインダーのレンズがない方がマシなのに、外せないところがまたもどかしい

悪戦苦闘しながら何度かM様を撮影する
撮れているはずなんですけどね、と言いながカメラとパソコンを操作しているとパソコンがカメラを認識した
そして、そこには動くか心配そうな表情のM様の写真が

撮れました!ほら!!と二人で喜ぶ

動画も撮れるはずなので、このボタンを押して、撮りますよ
全く見えないファインダー越しにM様を映す
パソコンで確認すると、私の浮かれた”撮りますよ~”の声と
ピースサインと笑顔でそれに応えてくれているM様の姿が

M様に使い方を説明しながら二人で撮影会を開く
「ありがとうございます」
楽しく嬉しそうなM様
「僕はカメラが好きで」
そこからカメラのお話をしていただく

そして
「これは誕生日に娘が僕のカメラ好きを知っていてくれたんです」
とカメラのモチーフの付いたアクセサリーを見せていただいた
「誕生日カードもカメラなんです」
カメラがお好きなんですね、と見えないファインダーを覗きながら好きなものに囲まれたM様を撮影する

いつか、ボタンを押すのも大変で、パソコンに認識されないこともあって、50センチ先も見えないファインダーのあのカメラが欲しい
カメラは記録される機械
あのカメラには確かに記録されている



【スタッフつぶやき】告白

久しぶりにM様のお掃除に伺った
シーツ交換のない、洗濯と床、洗面台、トイレ掃除の30分サービス
お掃除しながら最近読んだ本のお話をする

Mの姐さんは本当に日々たくさんの本を読んでおられ、芥川賞を獲った”コンビニ人間”から、お好きな東野圭吾、そして読みやすい短編集に各時代を彩るエッセイ集など
90も後半になっても衰えない読書量に圧倒される

そして、毎回伺う
ご自分では書かれないんですか?
これだけの量を読まれていたら自分で書こう、書けるとは思われないんですか?

言葉は違えど答えは同じ
「書けない、書こうと思わないわよ」

それでもM様のお若い頃から今までを振り返るだけでも、ひとつの小説、物語になりますよ!
と言うと
「そうね、戦時中から今まで本当に大変な時代を生きてきたからね」
絶対物語になると思います!と言っても自身では書かれる気がない様子

お掃除も終わり、もっとM様といろいろお話ししたいけれど次のサービスの時間も迫る
最後の最後M様に告白した
「私、施設のホームページに日記(ブログ)を書いているんです、名前は伏せてますが、M様のことも何回か書きました」

言ってしまった

次回、記事を印刷してお渡しする約束をした
怒らない、下手な文章でも褒めていただく約束付きで

M様の満面の笑顔
あの笑顔が見られただけでも、勇気を持って告白してよかった
この稚拙な文でもM様に喜んでいただけたら本望である

ああ、、、でも、、、何で言うてしもたんやろ、、、私、、、どないしよ



【スタッフつぶやき】素の関係

当然のことながら「ご利用者様」はモナトリエにご入居されて、私たちは初めてお会いできる
でも、これまた当然のことながら、私には”初めまして”であってもご利用者様は誰かのお父さん、お母さんであったり、お兄ちゃん、お姉ちゃんや弟さん、妹さん、おじさん、おばさんである
当然のことであっても「ご利用者様」となると、ご利用者様自身から伺うか、タイミング良くご家族に会いお話を伺わなければ、その方の歴史の片鱗、素の姿に触れることができない
そこに触れられた瞬間、「お客様」ではなく「その方」そのものが浮かび上がり、多面的に繋がれる気がする

K様のご入居にあたり、お生まれが我が故郷と同じとあった
初めてお手伝いに伺った際、ごあいさつの続きにそれを伝える
遠方にいるとちょっとした故郷との繋がりがとても嬉しく、それに触れずにはいられない
奥様が言われる
「弟が今もF市(我が故郷の近隣市町村)にいるのよ」
おおお!!ここに来てそんな中規模市町村の名を聞くとは!!テンション爆上がり
K様もニコニコされている
私、本当にその近くなんですよ!と伝えずにはいられない
でも、残念ながらK様たちはF市には行かれたことがないらしい
そんな話をして終わった初日

そして、また別の日
K様のお部屋に伺うとK様と同じ目元の男性が
息子様にしてはちょっと歳を取られているような、奥様のご兄弟かもしれないし、、、、、と考えていたら、そんな私を察してか奥様が
「弟よ」
弟という一言でテンションのギアが一段上がるけれど、奥様の弟さんかもしれないので確認のため確認すると、K様の弟様であるとのこと
ということは、我が実家の近隣在住、弟様!!と自分の口から出てくる言葉が自分でもわかるくらいに嬉しさ爆発
私のテンションに少々驚かれている弟様、私が勘違いしていると気づく奥様が
「3人兄弟の3番目、2番目がF市に住んでるのよ」
説明いただく
残念!!
私がテンション爆上がりした理由を説明すると、そうなんですね、とみんなで笑う

その後、掃除をしながら3兄弟のお話をあれこれ伺う
その際に弟様がお兄様であるK様のことを「M君」K様の下の名前でを君付けで呼ばれる自然な姿がとても新鮮で、K様の歴史に素のK様に触れられたような気持ちになれ、とても嬉しかった
それを弟様と奥様に伝えると
「M君、兄は優しい人だから」
ととても優しい表情で語られる
「義父がとても優しい人だったから3人とも優しい男性になったのよ」
少し眠そうにされていたK様も私たちの話を聞かれてにこやかにされている
その場が幸せに包まれている

何気ないことでも
K様を知る最初の一歩
すごく大きく、意義ある一歩
それを聞けたことに感謝



【スタッフつぶやき】趣味発見

以前も書いたけれど趣味とは意外と難しい
自分ではただ好きなだけと思っていても、周囲からは趣味と思われていたり、苦手だから一生懸命頑張っていたら好きに変わり、趣味になることもある
趣味とは自然としてしまうもの
自然と自分が好きなこと、継続することなのかも知れない

K様はとても穏やかな方で、柔らかな笑顔とうふふっと手を添えて笑われる姿が品がいい
昨年の初夏、お部屋に伺うといつもの大きな椅子に座られているK様
膝の上に何か抱えておられ、少し途方に暮れられている
猫かな?でも、猫のはずがないか、と思いつつ見直すとK様の膝の上には立派な”夏みかん”
どうされたんですか?と伺うと
「娘が庭になってたからと持って来てくれたけど、酸っぱいの」
どうしましょ、といった顔で困られている
困られているのも可愛らしい
K様はお料理上手だったでしょうね、と夏みかんレシピのお話をした
K様にとってお料理は得意であって趣味ではないですよね、じゃあ趣味は?
伺うと
「私は何も趣味がないのよ、本当に」
お掃除中ずっとK様の趣味を探してみるけれど見つからず

この1年間、K様のサービスがある度に”趣味”に繋がりそうなお話を探してみる
ご主人と一緒に楽しまれたことはありませんか?と伺うと
「主人がヨウ曲の先生に習っていて、家に来られたから一緒に習ってましたね」
と仰るので、フランク・シナトラとか?My Wayとか歌われていたんですか?
お風呂で歌ってみるけれど「?」な顔のK様
ヨウ曲
私=洋曲
K様=謡曲
謡曲、それは能楽の謡(うたい)
私の洋曲とは対極の謡曲
うっひゃーっと思いつつK様に一節所望するけれど
「私が好きなわけじゃなかったから、忘れちゃった」
うふふっ私の好きなK様の笑い方ではぐらかされる

別の日は
「主人は旅行も好きでしたね」
とのヒントをもらったので、趣味発見ですね!と言うと
「私はいつも荷物持ちで大変だった」
昭和の男性は世界どこでも亭主関白
旅行はK様の趣味ではありませんね

なかなかK様の趣味を見つけられずに、2025初夏

お風呂のお声掛けにK様のお部屋に伺う
お風呂をご一緒します
お声掛けすると
「もうそんな時間?!ボーっとしてて」
今日もうふふっと手を添えて笑われている
「何もしたくないの、ボーっとしてるの」
そう話されるK様を見ていて閃いた

「K様、K様の趣味はボーッとされることでいいんじゃないですか」

K様が”あらまあ!”と言う驚きの表情とともに
「本当ね、私の趣味が見つかった」
褒め言葉と最高の笑顔を頂戴した

趣味の世界は広く深い



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