【スタッフつぶやき】その人らしさ

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N様は教養としては知っているけれど、その歴史を知る人、語る人として稀有な人

例えば、ご兄弟が地球の反対側、ブラジルに開拓民として移住されたお話

戦後、新天地を求め南米ブラジルへ渡った人々がいることは、テレビか何かで知った知識であっても、私の周囲にはその歴史に関係した人はおらず、どこか遠い話でしかなった

N様が話される

「一度、母や兄と会いにブラジルに行ったけれど、本当に大変な生活をしてたの、寝るときも柱らちょっこんとあって、それに屋根じゃなく、布が掛かってるだけ、でも日本と違って夜でも暖かいから寝られないことはなかったの」

別のとき

今年は福岡県は雨が降らず、特に福岡市内は断水があるかもしれないほどの水不足

そんな話をN様としていたら思い出される

「そういえば、子どもの頃、雨乞いをしたことがある」

”雨乞い”なんとも”いにしえ”の響きに満ちた言葉

どんなことをしたんですか?と伺うと

「夜、提灯を持って村のみんなで神社に行き、神社に着いたら提灯を消して、何か祈ったのよ」

雨は降りました?と伺うけれど

「それは覚えてない、そもそも、今の今までそんなことも忘れてた」

「雨乞いした人、初めて会いました、握手して下さい」

二人で大笑いした

何気なく話されるN様の「歴史」が楽しみになった

「私の父の実家はお寺さんだったから、父は何時間でも正座をしてても苦にならなかったのよ」

N様のきっちりとされた性格はきっとお父様似なんでしょうね、と笑い合った

看護婦をされていたN様が看護婦になられるきっかけも聞いた

「叔母が助産師をしていて、いつでも駆けつけられるよう自転車を家の前に置いていてね、私も手伝ってたのよ」

使命感の強いN様にピッタリのお仕事でしたね、と言うと

「大変だったけど、好きな仕事だった」

背筋を伸ばし、窓際の椅子に座られながら快活に話されるN様

椅子のそばには「すること一覧表」や脳トレが置かれ

「大変だけど、元気でいないといけん、頑張るぞ」

お掃除の最後にはいつも拳を上げて気合を入れられていた

そんなN様、歩くことがキツくなられていたとき、職員に言われた

「人間失格ね」

その職員は

「じゃあ、N様は人間以外なら犬がいいです?猫がいいです?私は猫がいい」

二人で大笑いしたそう

私も話したことがある

「今はお手伝いしていても、N様は元気になられたらご自分でされる方と知っています、慌てず、責めず、ゆっくりですよ」

「そうね、ありがとう」

いつもN様は「ありがとう」を言っていただくとき、手を合わせられていた

自分の足で歩く、自分のことは自分ですること、自分らしくあること

N様が最後の最後まで実践されていたこと

そうでありたいと思われていたN様

私たちが思うとき、思い出すのはそんなN様

そんな私を覚えていてね

そう言って、手を合わされているはず

桜が咲いた、春に思う